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書籍紹介

建築都市分野におけるカーボン・トレーディング 持続可能な社会と環境との共生のために

著者:野城 智也(編著)/北島 隆次(著)/梓総合研究所(安野 芳彦/竹村 泰紀)(著)

地球温暖化ガス削減に向け、既存建築を対象に具体的な施策を提案

N01655

本書はカーボン・トレーディングについての解説書です。
カーボン・トレーディングとは、既存の建築を主な対象に、温室効果ガス排出を抑制する動機付けを市場のなかで生みだそうとする方策です。
いままでは、省エネルギー改修など既存の住宅・建築に何らかの投資をしても、毎年の光熱費などの削減により投資を回収するために10年~20年の年月がかかってしまうことが珍しくありませんでした。
しかし、本書で描くカーボン・トレーディングのあり方が実現し普及して、温室効果ガスの排出削減量に見あうカーボン・クレジットが市場で売却できるようになると、その売却益も投資回収に組み入れることができるようになることから、回収年数が短縮されることが期待されます。
また、病院、データセンター、超高層ビルなどについては、それぞれの敷地内だけで温室効果ガス排出をゼロにすることは極めて困難です。
しかし、他所で行われる温室効果ガスを吸収固定したり、排出削減する活動に責任ある関与をするとその吸収固定量、削減量を合算できるような仕組みを導入すれば、むしろ地球全体としてみれば、より多くの温室効果ガス削減の効果が得られます。
このような考え方で、市場を介して、温室効果ガス削減を最大化していこうとする意図が、住宅・建築分野におけるカーボン・トレーディングには込められています。
本書ではまた、こうした考えを共有する先達、東京都庁在職時に前記の東京都環境確保条例の改正に携わられ、それに基づくTokyo Cap & Tradeの立ち上げや運用に尽力された大野輝之氏(現・自然エネルギー財団)と、1999年に『地球持続の技術』(岩波新書)を著されるなど、長年にわたって社会の持続可能性にかかわる課題に取り組んでこられた小宮山宏氏(元・東京大学総長 現・三菱総合研究所)のインタビューを合わせて掲載しています。

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基本情報

発行日:2022/06/17
発行社:インプレスR&D
ページ数:232(印刷版)
ISBN:9784295601210


目次

プロローグ 皆が「減らすこと」を競い合う未来社会
第1章 住宅・建築におけるカーボン・トレーディングとは
第2章 カーボン・トレーディングの制度設計
第3章 住宅・建築でのカーボン・クレジット計測
第4章 期待されるイノベーション
第5章 鼎談 「カーボン・トレーディングが拓く未来」
おわりに どのように導入するか


著者紹介

(五十音順)
野城 智也(やしろ ともなり)(編著)
東京大学生産技術研究所 教授
1957年、東京都生まれ。1985年、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。
建設省建築研究所、武蔵工業大学建築学科助教授、東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻助教授などを経て、現在、東京大学生産技術研究所教授。工学博士。主な著書に、『サービス・プロバイダー――都市再生の新産業論』(彰国社、2003)、『実践のための技術倫理―責任あるコーポレート・ガバナンスのために』(共著、東京大学出版会、2005)、『住宅にも履歴書の時代―住宅履歴情報のある家が当たり前になる』(共著、大成出版社、2009)、『建築ものづくり論―Architecture as "Architecture"』(共著、有斐閣、2015)、『イノベーション・マネジメント―プロセス・組織の構造化から考える』(東京大学出版会、2016)、『生活用IoTがわかる本 暮らしのモノをインターネットでつなぐイノベーションとその課題 (NextPublishing)』(インプレスR&D、2017)などがある。

北島 隆次(きたじま たかつぐ)(著) 
TMI総合法律事務所 パートナー弁護士
1972年生。東京大学教養学部卒業後、製造業(6年)及び監査法人系コンサルティング・ファームでの環境・サステナビリティコンサルタント(8年)を経験後、2010年東京大学大学院法学政治学研究科(法曹養成専攻)修了。2012年弁護士登録後現職。専門は企業法務、特に環境・サステナビリティ。事業会社、コンサルティング・ファームでの豊富な現場経験をベースに、「企業を守る」、「企業と創る」、「企業を繋ぐ」業務に従事。環境省、業界団体等の委員を歴任。カーボン・クレジットを活用したビジネスや法的留意点について多くの企業に助言を行っている。

梓総合研究所(あずさそうごうけんきゅうじょ)(著)
2021年10月1日、株式会社梓設計が、創業75周年記念事業として設立。「Architectural Innovation & Digital Disruption」を標榜し、研究所として「あるべき未来からバックキャスティングし、リアルとデジタル空間に跨るデザイン力で、建築・都市・環境的課題を解決する」ことを目指す。空港施設ではAIによる運営効率化、環境では脱炭素建築と社会的枠組みの提言、設計・管理におけるDX手法開発、更には未来の建築家を育む次世代教育プログラムを推進。

安野 芳彦(やすの よしひこ) 
梓総合研究所 理事
1957年生まれ。1982年、横浜国立大学 大学院工学研究科建築学専攻 修士課程修了。梓設計に入社。現在、梓設計取締役副社長。梓総合研究所(AIR)理事。社外では建築士会連合会BIMタスクフォース主査、JIA‐BIM特別委員会委員、国交省BIM推進会議委員など。「新国立競技場」のほか、多数の受賞建築作品に携わってきた。

竹村 泰紀(たけむら たいき) 
梓総合研究所 研究員
1990年生まれ。2015年に慶應義塾大学 理工学部機械工学科卒業後、英国建築家協会付属建築大学へ編入。2021年同校にて修士号およびARB/RIBA Part2を取得。同年より株式会社梓設計、梓総合研究所にて勤務。デジタル・デザインや脱炭素・環境建築関連の研究に従事。著書に「地球第三の森」(紫洲書院、2021)。