書籍紹介

推しの死 悲しみを抱いて生きるグリーフケア

著者:倉西 宏

本屋大賞受賞作でも描かれた"推し活"と"グリーフケア"の真の姿を読み解く1冊

N02610

推しが亡くなった。グループが解散した。信じていた姿ではなくなってしまった。 そのとき心に空いた穴を、周囲はなかなか理解してくれません。 「会ったこともない人なのに」「そんなことで」 そう言われて、悲しみを飲み込んだ経験はないでしょうか。 本書は、臨床心理士・公認心理師として長年グリーフケアに携わってきた著者が、「推し」を失った悲しみに正面から向き合う1冊です。 著者は大学で学生たちの喪失体験に触れるなかで、「推しの死」が引き起こす心の動きが、一般的な死別のそれと非常によく似た構造を持つことに気づきます。 であれば、グリーフケアの知見は「推し」を失った悲しみにも同じように届くはずだ。本書はその確信から生まれました。 なぜ「推し」はこれほど心の支えになるのか。社会に認められない悲しみは、どのように孤立していくのか。 語ること、物語、表現という3つの道筋から、悲しみを外に出し、もう一度自分の中に収めていくプロセスを描きます。 悲しみは、消さなくていい。忘れなくていい。抱いたまま、これからを生きていくことができます。 「推し」を失った方はもちろん、大切な誰かや何かを失ったすべての方へ届けたい1冊です。

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基本情報

発行日:2026/09/25
発行社:インプレス NextPublishing
ページ数:158(印刷版)
ISBN:9784295606017


目次

はじめに あなたの悲しみは、本物だ
第1章 「推し」を失うということ
 現代における「推し」の存在とは何か/「推し」と宗教性の関係/「推し」が心の支えになる理由/二次元の「推し」も、喪失体験の重さは同じ/「推しの死」は、自分の定義が変わる出来事/「そんなことで」と言われてしまう苦しさ――非公認の悲嘆
第2章 グリーフケアとは何か
 グリーフケアでは、どんなことをするのか/喪失体験とは、自分の一部を失うこと/悲しみの存在意義とは何か/「推し」の死は、なぜこれほど深い喪失になるのか/「推し」を失った悲しみにも、グリーフケアは届く/怒り、否定、空白――悲しみの多様なありかた/悲しみに「正しい向き合い方」はあるのか
第3章 語ることの力
 なぜ「語る」ことが癒やしにつながるのか/言葉にならない感情はどこへ行くのか/同じ界隈でも話せない――孤立する悲しみ/沈黙と語りのあいだで
第4章 物語の力
 「推し」の物語が自分の価値観とリンクする/物語が与える力で、悲しみの「意味」を見つける/他者の物語が、自分だけの悲しみを照らす
第5章 表現することの力
 言葉にならない悲しみのために/箱庭という、小さな世界/推し活も1つの表現だった/言葉の枠を超えた表現が心を動かすとき
第6章 悲しみとともに生きる
 回復とは、悲しみを消すことではない/「推し」を失った後の、自分の人生を生きる/新しい「推し」と出会うことへの罪悪感/あなたの悲しみは、あなたの愛の証しだ/悲しみとともに、これからを生きる
おわりに それでも、癒えない悲しみがあるなら


著者紹介

倉西 宏(くらにし ひろし)
臨床心理士・公認心理師・博士(臨床心理学)
京都文教大学臨床心理学部准教授、京都文教大学グリーフケアトポス*こはこ代表、カウンセリングルーム*オータム(滋賀県大津市)室長。
数多くのクライエントに対し、死別・喪失体験への臨床心理学的理解をサポートしてきた。箱庭療法を用いて、喪失体験を入り口とした自己理解に関するワークを制作している。
また、放送大学にて「物語と臨床心理学」というマンガ・物語を臨床心理学の観点で読み解く講義を受け持ち、多くの学生から好評を得ている。