書籍紹介
本書は,大学や工業高等専門学校の機械工学系の学生を対象とする工業熱力学の教科書です。目的をエネルギー解析手法の習得に徹底的に絞り,本質のみで再構築された工業熱力学の世界が記述されています。
例えば,本書では熱力学の第一法則や第二法則の代わりに,それらの基底にある考えに基づいて構成された数式を,エネルギー解析の道具として使い勝手のよい形で提示します。また,エントロピーを援用したエネルギー解析法を新たに展開し,エネルギー解析の対象範囲の拡大とエントロピーへのより深い理解を目指しています。
各章では多彩な系に対する解析例を取り上げて詳細に解説し,また最適な章末問題を記載して,理解を容易にするとともに解析手法の活用法を習得できるようにしています。「これなら熱力学が分かる」と,読者の皆様に言ってもらえることを願っています。
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電子版 ¥1,800 小売希望価格(税別)
印刷版 ¥1,800 小売希望価格(税別)
発行日:2021/01/29
ページ数:136(印刷版)
ISBN:9784764960145
第1章 基礎的な概念
1.1 系と状態量
1.2 熱と内部エネルギー
1.3 章末問題
第2章 エネルギー保存則とエネルギー解析
2.1 エネルギーの形態と分類
2.2 エネルギーの保存と万能エネルギーの保存
2.3 生成仕事
2.4 検査「体積」法
2.5 章末問題
第3章 開いた系とエネルギー解析
3.1 開いた系と流動仕事,エンタルピー
3.2 圧縮性物質の比熱
3.3 定常流動系とエネルギー解析
3.4 非定常流動系とエネルギー解析
3.5 章末問題
第4章 理想気体とエネルギー解析
4.1 理想気体の特性と比熱
4.2 理想気体の可逆変化のエネルギー解析
4.3 可逆変化に伴う生成仕事と吸熱量
4.4 混合気体
4.5 章末問題
第5章 エントロピーとエネルギー解析
5.1 エントロピーの導入
5.2 実在気体とエントロピー
5.3 理想気体とエントロピー
5.4 章末問題
第6章 エントロピーと最大仕事,自由エネルギー
6.1 最大仕事
6.2 化学反応に伴う最大仕事と自由エネルギー
6.3 章末問題
第7章 エントロピー生成と最大仕事の損失
7.1 不可逆過程とエントロピー生成
7.2 種々の不可逆現象におけるエントロピー生成
7.3 章末問題
1959年沖縄県与那国島生まれ。
1977年神奈川県立鎌倉高校卒業。
1986年慶應義塾大学大学院博士後期課程単位取得退学(同年,博士(工学)取得)。
同年,琉球大学工学部助手に任用。
1988年米国レンスラー工科大学にて研究(2年間の派遣)。
1996年韓国ソウル大学にて研究(6ヶ月の派遣)。
現在,琉球大学工学部教授。