書籍紹介
本書は、新型コロナウィルスの大流行について、この難局の舵取りを感染症の専門家とよばれる人たちに任せておいて大丈夫なのだろうか、と著者が疑問を抱いたことに端を発しています。
結局、自分が納得するには自分で情報を集めて理解に努めるしかないという結論に達した著者は、「同じような思いをもつ人たちに、もう少し助けになる書籍があってもよいのではないか」という考えから、多くの人たちの知りたい内容をわかりやすく伝え、一緒に考える上で少しでも役立つものになってほしい、と本書を執筆しました。
本書では、疫病の歴史から感染の拡大・収束のシミュレーションまで詳細に解説し、流行が収まった「コロナ後」に世界が向き合う課題についても展望しています。また、付録ではシミュレーションについての計算方法や数学的な裏付けを記しています。
本書がパンデミックに直面している現在、そしてその先のことを考えるきっかけとなれば幸いです。
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電子版 ¥1,500 小売希望価格(税別)
印刷版 ¥1,500 小売希望価格(税別)
発行日:2022/05/27
ページ数:118(印刷版)
ISBN:9784764960381
第1章 疫病の歴史と感染の仕組み
1.1 人類と疫病の戦い
1.2 科学文明による疫病の解明
1.3 ウィルス感染症
1.4 感染と免疫の仕組み
第2章 新型コロナウィルスの流行
2.1 流行の始まりと拡大
2.2 感染を識別する検査
2.3 感染の進行と対応策
2.4 注目すべき感染対策
2.5 ワクチンと治療薬
2.6 人間や社会が受ける影響
第3章 感染症の性質とシミュレーション
3.1 感染症のシミュレーション
3.2 感染対策の効果
3.3 感染の広がり
3.4 感染症の性質
第4章 新型コロナウィルスの流行が及ぼす影響
4.1 危機管理の原理と感染症の流行
4.2 新型コロナウィルスの流行で考えさせられること
4.3 コロナ禍の注目すべき現象
4.4 コロナ後の世界
付録 シミュレーションの数学的基礎
A.1 SIRモデル
A.2 感染者の隔離とワクチンの効果
A.3 人の出入りを考慮した感染過程
略歴:1941年東京生まれ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院理学系研究科地球物理学博士課程修了。理学博士。専門は固体地球物理学、特に地震や噴火の発生機構。
マサチューセッツ工科大学、東京大学物性研究所(助手)、同海洋研究所(助教授)、同地震研究所(教授)、兵庫県立大学理学部(教授)などで研究と教育に携わる。その間に日本火山学会会長、火山噴火予知連絡会会長などを務める。交通文化賞受賞。東京大学名誉教授、兵庫県立大学名誉教授。現在はアドバンスソフト株式会社研究顧問。
主な著書:『火山の事典』(編共著;朝倉書店, 2008)、『火山爆発に迫る』(編共著;東京大学出版会, 2009)、『地震予知と噴火予知』(ちくま学芸文庫, 2012)、『自然災害のシミュレーション入門』(朝倉書店, 2014)、『地球の教科書』(岩波書店, 2014)、『人類の未来と地球科学』(岩波現代全書, 2016)、『シミュレーションで探る災害と人間』(近代科学社, 2018)、『予測の科学はどう変わる?人工知能と地震・噴火・気象現象』(岩波科学ライブラリー, 2019)。